蜜蜂と遠雷のネタバレ-優勝者とタイトルの意味/本屋大賞・恩田陸

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2017『本屋大賞』に輝いた、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』(読み方は、みつばちとえんらい)について、私なりに、コンクールの結果(優勝者)と、著書のタイトルの意味を考察してみました。

ネタバレになるので、未だ読んでいない人は注意!)

優勝者は著書の中で『マサル』と確定しているので、あまり議論の余地は無いかもしれませんが、

一方で、蜂蜜と遠雷というタイトルの(真の)意味に関しては、読者によって、捉え方が各々に転びそうな作品だと思いました。

恩田陸の蜜蜂と遠雷は、『夜のピクニック』に続き、本作が2回目の本屋大賞です。。

また、蜜蜂と遠雷は『直木賞』も受賞ということで、名実ともに素晴らしい作品内容になったと思います。

(恩田陸って、直木賞まだだったんですね。直木賞を獲得したことではなく、直木賞を取ってなかったことのほうが驚きでした)

本屋大賞受賞『蜜蜂と遠雷』の感想(ネタバレあり)

蜜蜂と遠雷 恩田陸 本屋大賞

蜜蜂と遠雷を読んで、私が抱いた感想は、

まず、何よりも、表現力が素晴らしいということです。

この点は、どの読者の方も口にしています。もはや規定事項といっていいでしょう。

ピアノの音色そのものを言葉にするという作業は、

まさに、言葉にならないものを言葉で表現する作業といえ、作家冥利に尽きると思います。

恩田陸インタビューにて、

演奏シーンは最初から最後まで苦しみました。特に、一次、二次とコンクールの予選が進むにつれて、一度使った表現はもう使えませんから、どんどんバリエーションが少なくなってきて、三次の辺りがいちばんつらかった。もう本選は書かなくていいんじゃないかと泣き言を言った<以下省略>

引用元:本の話WEB

と、いかに音を文字に起こす作業が困難だったかを語っています。

以上の他、

読書後に私が考えたのは、

本当の優勝者は誰か?

ということと、

『蜜蜂と遠雷』のタイトルに込められた意味は?

この二つです。

皆さん、どう思われたか分かりませんが、私なりに、考察してみました。

簡単なあらすじ

あらすじを、超簡単に記すと、

話の舞台となるのは、芳ヶ江国際ピアノコンクール。つまり音楽の物語です。

各々に特徴的なバックボーンを抱えた4人の出場者が、ピアノコンクールを通して、互いに感化し合い、成長していくという過程を描いています。

音楽(ピアノの音色)を文字に起こして言葉で表現する

という点を除けば、話そのものは。特に複雑な内容ではなく、言ってしまえば、王道的な青春ストーリーです。

登場人物

物語の中心となる登場人物は、

  • 風間塵
  • 栄伝亜夜
  • 高島明石
  • マサル・カルロス・レヴィ・アナトール

の4人です。

風間塵

『蜜蜂王子』の愛称で親しまれる、15歳の少年。

亡き天才ピアニストのホフマンから推薦を受けてコンクールに参加。

栄伝亜夜

輝かしい実績とともに、かつては天才と謳われた少女。

母が亡くなったことをキッカケに、ピアノを離れていた。

指導教官から無理やり背中を押されるかたちで、しぶしぶ参加。

高島明石

28歳と、参加者の中では最も高齢。

音楽家の夢を捨てきれずにいるサラリーマン。子どものため、という大義名分を掲げて参加。

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール

名門音楽院に通う19歳。容姿も性格も音楽の才能も、全てが同居する、いわゆる天才。

『恩田陸』が考えるコンクールの優勝者

蜜蜂と遠雷 恩田陸 本屋大賞

優勝者は、物語の中で明らかになっています。

コンクールの優勝者マサルです。

しかし、恩田陸はインタビューにて以下のように答えています。

作者自身、本当に最後まで順位を決められず、正直、もう誰が優勝でもいいんじゃないかと(笑)。最後の最後に結果は決めましたけど、ああ、私が書きたかったのは、同じステージに立つ演奏家たちが互いにインスパイアされて、どんどん成長する、そこが書きたかったんだと気付きました。そういう意味では、書き尽くしたと思います

引用元:本の話WEB

この内容からするに、要は、結果ではなく過程を描きたかった、だから(一応、決めはしたけど、真の)優勝者は誰でもいい、といったふうに読み取れます。

「そういう意味では、書き尽くしたと思います」

という部分を、ちょっとひねくれた解釈をするならば、

登場人物が成長する過程を描くという点では書き尽くすことができた。

しかし一方で、誰が真の優勝者なのか?

つまり、才能とはいったい何をもって才能とするべきなのか?

この点については、書き尽くすことができなかった

こんなふうに、私は読み取りました。

(性格悪いですね、すみません)

優勝者は、本当にマサルでいいの?

と、読んだあとに、そういった疑問を感じましたが、恩田陸のインタビューを参考にする限り、あながち的はずれな疑問ではなかったと思います。

粗くまとめるならば、

恩田陸のように才能に恵まれた逸材であっても、才能とは何か?という問に答えるのは難しいということになるかと思います。

あと、考えようによってはですが、読者が一番共感できた登場人物が『優勝者』とも結論付けることもできます。

その意味では、私の中の優勝者は『栄伝亜夜』かな。

タイトル『蜜蜂と遠雷』の意味

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『蜜蜂と遠雷』というタイトルの意味も意味深です。

まず、読んだ人なら、誰でも思いつくのが、

蜜蜂=風間塵(蜜蜂王子の愛称で親しまれている)

遠雷=風間塵の師匠で、天国にいるホフマン

という関係です。

蜜蜂王子と呼ばれる風間塵が、三次予選の直前に、遠雷の響く音を耳にする。そこにホフマンの存在を強く意識し、覚醒していくという、物語において重要なシーンがありますが、

素直に考えれば、この場面にタイトルの意味を見出すのが素直かと思います。

タイトル表向きの意味として、

蜜蜂と遠雷は、風間塵とホフマンの関係を示しているのは間違いありません。

蜜蜂と遠雷 恩田陸 本屋大賞

しかし、私は、これとは別の意味が、タイトルには含まれていると考えます(あくまでも個人的な感想です)。

冒頭にこのような文面があります。

明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。そして、世界とは、いつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろう

引用元:蜜蜂と遠雷

 蜜蜂がわんさかと飛び交う野山の様子を、蜜蜂=♪と見立て、世の中は至福の音楽に溢れていると捉えます。確かに、蜜蜂はその形状から♪に見えるし、蜜蜂の羽音も、音だけ取り出せば、軽やかでリズミカルな音色ともいえます。

蜜蜂と遠雷 恩田陸 本屋大賞

もはや、ダンサー・イン・ザ・ダークの世界です(昔、ヒットした映画です)。

以上のことを、もう少し、ストレートに表現している部分もあります。

ああ、本当に、この世界は音楽に満ちている。ドアの開閉音、ホールの窓を叩く風、人々の足音、会話。

私なりに、上記の表現を少し補うと、

この世界は音楽に満ちている。ホールの窓を叩く風、人々の足音、会話、そして、遠くで響く遠雷

といったふうになります。

先程の蜜蜂の部分とつなげて解釈するならば、

野山を飛び交う軽やかな蜜蜂の羽音、遠くの空で鈍い音を立てる遠雷、そのいずれもが音楽である。

となり、

つまり、世の中のあらゆることが音楽である、その事実を例えて、『蜜蜂と遠雷』というタイトルになったと解釈します。

恩田陸が名付けた『蜜蜂と遠雷』というタイトルには、そのような意味も込められているのではないかと、私なりに感想を持ちました。

さすが、本屋大賞受賞作、楽しむだけではなく、あれこれと考えさせてくれますね(笑)

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